手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

どこまで助けるか

娘はの高校1年生。フランスの進級は9月だから高校生になってから半年経ったことになる。

 

中学までは体育以外は時々苦労する事はあっても比較的によくこなしていて、本人的には高校も勉強は大丈夫だろうと思っていたようだった。

 

でも高校に入ってすぐ雲行きが怪しくなってきた。

「仲良しの友だちと別々のクラスになった。」から始まり、

「どの先生も全然丁寧に教えてくれない。」とぼやく様になり、

「授業でやってない所が宿題になってる!」

「明日は提出しなきゃいけない作文が二つもあるのに、数学の先生がいきなり一杯宿題だしてきた!!」などなど、焦る事が多くなった。

そして、現に毎晩夜遅くまで勉強するも、だんだん追い付かなくなって、テストでも満足な成績が取れず自分は落ちこぼれだと自信を無くし始めた。

 

娘は天才でも秀才でもない。あまり要領もいい方ではない。ただ、時間をかければ理解はできるし、一旦理解すれば、文系科目は何とかなる。ただ、ある程度問題をこなして慣れないと点数に繋がらない理系科目は苦戦している。

 

これを見ている私は、母として辛い。可哀想だし、助けを求めてくれば、できるだけの手助けはしてあげたい。でも、さてどこまで手を貸すのが正解か、いつも葛藤する。そりゃ、助ければ宿題は進むし、復習も捗る。しかし果たしてそれは彼女にとっていい事なのか…。高校生ともなれば、ちゃんと計画を立てて自立して勉強するのが本当なのではないのか…。

 

ただその一方で、塾に通う子もいれば、家庭教師を雇ってもらう子もいるわけで、私がその役割を果たせるのであれば、その方がいい様な気もする。手は抜かないし、見捨てないし、授業料は掛からないし。まぁ甘くなり過ぎるのは問題だとは思うが。

 

私は高校時代、真面目に勉強した事はなかった。成績を気にする事もなかった。だから、自分と比べれば、娘は驚くほど頑張っている。結局の所、親は応援する事しかできない。最終的に結果を出さなければいけないのは本人なのだから。とすれば、あれこれ悩まずに、親は助けられる限り、全力で助ける、に徹すればいい様な気もする。

 

先日姪っ子ちゃんの入試対策のため2週間程英作文の手解きをした。2年程前には甥っ子ちゃんの編入試験の対策にも付き合った。二人ともめでたく志望校に合格した。その前には別の甥っ子ちゃんの卒論も見た。役に立てて嬉しかったではないか。

そうだ、娘のための手助けを出し惜しみする必要などあるわけがないじゃないか。

 

なんだ、これ書いたら、問題解決したっぽい。

答えは自分の中に、か。

やはりちょっとやり過ぎか…

ガロ・ローマン遺跡

人は自分の生きている今の事さえよく分からない。

人一人が生きる場所や時間は限られていて、世界で何が起こっているかをニュースで知る事はあっても、理解する事は難しい。

 

ましてや何千年も前に起きた事を事実として教えられても、それはどこか現実味を欠いていておとぎ話か何かの様。

 

でも、美術館や博物館、遺跡などを見る機会があると大昔に確かに生きた人の息遣いを感じて不思議な気分になる。そこには、自分なんかよりもはるかに才能に溢れ優れた技術を持つ人々が、与えられた役割をこなしながら日々暮らしていた跡がある。

 

我が家から車で30分弱の場所にガロ・ローマン時代の遺跡がある事は前から知っていて、一度行きたいと思っていた。

でも、もともと出不精な質なので、また今度、また今度、と幾度となく先延ばしにしていた。で、昨日、ジャポニカ米を買いに行くついでに少し足を延ばそうと、重い腰をエイヤッ、と上げた。

 

広ーい畑の中にポツリポツリと農家の屋根が見える中を延々と走り、ようやくたどり着いてみると…、閉まっていた。

 

チッ。

 

門の前には去年の夏休み中の開園スケジュールが貼りだされていて、それも土日のみ…。これをホームページに載せてほしかった…。ネットでは、屋外の遺跡で入場無料、駐車場あり、との情報と共に写真が載せられていて、てっきり一般に開放されているのだろうと思っていた。それに今は冬休み。休みの期間に見に来て貰わないと、いつ人に来て貰うんだ、と思うが、ここはフランス。仕方がない。

 

でも、せっかく来たのだから少しぐらい見られないか、と正面の生垣の角を曲がるとそこはワイヤーフェンスで透け透けだった。残念ながら近くに寄る事はできないけれど、それほど大きくない遺跡を遠巻きに見られた。

 

何でもカエサルガリア戦でフランスを征服したあとに建てられたローマ式の建造物の一つで、この遺跡はこの地域の守護神だったガリアのヒーリングの女神、セジェスタに捧げられた神聖な場所だったらしい。ローマ帝国の道路地図、タブラ・ペウテインゲリアナにもAquis Segeteの名前で記載されていると言うのだから要所だった事が分かる。整備された遺跡の中央には病に効くという温泉水の取り込む水場があって、そこを囲むように立ち並んでいた巡礼者のための店の跡も見られた。小さなお守りの様な物も発掘された様で、飲食店の他、お土産屋さんなどがあったのだろうと言われている。まぁ、人が集まる場所では色々需要が生まれるから、そこは現代とあまり変わらないな、と思う。

 

資料館も閉まっていたので、細かい事は分からないが、周囲には広大な遺跡が眠っているらしく所々発掘途中の場所もあった…。どうやら新しく美術館を建てる予定らしいので、あと2,3年もすれば発掘も進んで名の知れた観光地になるかもしれない。

 

30分程歩き回って、フェンスの外に並べられた岩を台座に見立てて、そのうえで娘に女神セジェスタのポーズを取ってもらい記念撮影をして、ジャポニカ米を買って帰ってきた。

 

 

灯り

以前、有隣堂カクヨムとコラボして二次創作コンテストを行った際に応募した作品が最終審査まで残った事でちょっと嬉しくなり、今度はオリジナル作品を手掛けたいと思っていました。

 

yamatopiece.hatenablog.com

 

そこで、フランスに帰ってから暇を見つけては少しずつ書き進めていた物語がようやく完成しました。実はこのお話、最初の1話、2話とは当ブログで投稿し始めたんですが、長くなりそうだったので物語として纏めて投稿できるカクヨムに移して書いていました。

カクヨムではちょうどWeb小説のコンテスト開催中で、そちらにも応募してます。

 

小説の書き方などよく分からず思い付くまま書いているので、ちゃんと形になっているかも定かではありませんが、興味のある方、素人の悪あがきを見たい方、ちょっと暇つぶしに何か読みたい方、チラッとでも覗いて頂ければ嬉しいです!

 

kakuyomu.jp

甘味断ち

娘にねだられて12月初めに買ったアドベントカレンダー

クリスマスまで毎日一つづつ窓を開けて中のお菓子を食べるヤツ。

思えば、あの日から毎日、本当に毎日、甘い物を食べていた。

それに加えてクリスマスケーキやらアイスクリームやらを食べ、お正月に作ったお汁粉や知り合いの方から頂いたガレットデロワやクッキーも平らげた。

甘い物は幸せの味がするから、祝い事には欠かせない。

 

しかし、つい1週間ほど前、膝に違和感を感じてドキッとした。

実は一度膝を痛めている。その時はお医者さんに減量しなさいと言われた。

 

そう言えば、あんなに甘い物を毎日食べていたのに、薄暗い寒空の下散歩する気も起きず、11月頃から運動も全くしていなかったっけ。

それに、体重計の電池が切れた事を良い事に暫く体重測ってなかったよな。

 

電池を入れ替え、ゼロが点滅するのを待って、意を決して乗ってみると2キロチョイ増えていた。思わず着ていた物をその場に脱ぎ捨てた。

厚着しているはずなのに部屋着は1キロもなかった。

 

チッ。

 

夏前に苦労して3キロ落としたのに、日本で美味しい物を沢山食べて1.5キロ戻していたから、きっちりリバウンドを果たして、また人生最重量に近づいている。

恐ろしいことに、娘を身籠っていた頃の最重量だ…。

 

という訳で、子供達と相談し、まずはママのために皆でしばらく甘いお菓子を断つ事としました。買ったり作ったりすると食べてしまうから。

 

そして今日で3日目。体重は変わりませんが、何だか夜寝つきがよくなりました。

でも膝の違和感はまだ消えてません。

 

甘味断ちだけで少しでも痩せられれば、調子に乗ってまた運動も始めたりするかもしれない。ここは調子に乗らせてくれないかなぁ…。

 

皆様も体重が増えると関節に負担がかかりますので、中高年での増量にはくれぐれもお気をつけ下さい。それにはやはり、定期的な体重測定が必要かと思われます。色々避けたい理由もあるかと思いますが、ここは思い立ったが吉日。健康のため、乗って共に現実を見据えましょう。

 

 

初映画

今年の初映画。

晦日の夜、年明けをジンジャーエールで祝うと、我が村でも少しだけ花火が上がった。新年を迎えたワクワク感が砂糖のお陰で更に高まって、娘がみんなで映画を観たいと言い出した。クリスマスイブで夜更かしをして、一気に夜型に移行してしまったのは心配だったけど、もうすぐクリスマス休暇も終わりだし、どこへも出かけなかったので、明日9時までに起きなかったらお雑煮は作らないと脅して、許すことにした。

 

さて、新年にふさわしい映画は何だろう、と皆で考えて決めたのは、ショーン・コネリー主演の1964年版007、ゴールドフィンガー

 

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ちょっと昔のアクションも、分かりやすい悪者キャラも、ショーンコネリーを取り巻く魅惑的ながらも強い女性達も痛快で楽しめた!キレイを武器に身を危険に晒してでも目的を遂行しようとする女性はカッコいい。

 

子供達がそんな古い映画観て楽しめるのかって?

イヤイヤ、面白い映画は世代を超えて楽しめる事は我が家で実証済み。

 

このデジタルな時代に余りにそぐわなくて大きな声では言えないが、実は我が家にはかなりの数のDVDがある。テレビは見ないけれど、皆映画は好きで、コレクションは主人の好み、義母の好み、私の好み、子供たちの好みと、冒険物やアクション、SFに始まって芸術的な作品まで幅広い。(えっ、007シリーズ?すみません全て揃っちゃってます…。)そして子供たちが小さい頃から金曜の夜はワンプレートディナーを前に家族で色んな国の色んな監督の色んな時代の映画を観るのが習慣だった。

 

流石にサブスクで色々観られる様になってからは以前ほど買わなくなったが、それでも好きな映画は1本2本と少しずつ増えていく…。直近で買ったのは前から持っていたけど傷がついたか何かで見られなくなってしまったキャバレー。

 

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考えてみるとゴールドフィンガーは1964年、そしてキャバレーは1972年公開だから、どちらも私が生まれる前の作品で私からして世代を超えたファンだ。ちなみにキャバレーは義母のお気に入りだった。

 

義母と主人が先に逝ってしまい、二人の好きだった映画は暫く見られていないが、どれも何度も見た本当にいい映画ばかり。

今年は少しずつ見返してみようか。

大切な人

元旦の朝、ご近所さんからの電話で目が覚めた。

「ご実家は大丈夫?今ラジオで日本で大きな地震があって津波警報が出ているってニュースが流れてるわ。まだ知らなかったら確認した方がいいかも。」との事。

 

驚いてスマホを見ると能登でM7.6の地震があって近隣の県もかなり揺れた様子。私の実家は富山で家族や親類だけでなく大切な友達も住んでいる。まずは老齢の両親、家族に連絡し、その後知り合いに一斉に安否確認のメッセージを送ったが、すぐに返事は来ず、まさか、まさか、と悪い事が頭を去来し不安になった。

 

非常時にすぐに駆け付けられる距離に住んでいないので、こういう時は右往左往するしか手立てがない。ただ、有難い事に、今は皆とネットで繋がっているので、誰かと連絡が取れなくても他の誰かが返事をくれるので、30分後には全員の無事が確認できた。

 

普段の30分なんて、気を抜いているとあっという間だ。

でも、いまかいまかと何かを待っている時の30分はやたらと長いものだ。

 

新年の初日から肝を冷やす事になるとは思ってもいなかったが、私にとっては年初に家族の大切さや絆が確認できた事は良かったかもしれない。思い遣りや愛情は言葉や行動に表さないと伝わらない事の方が多いのだから、平時からちゃんと伝える努力をしないといけないな、と思った。今日と同じ明日が来るとは限らない事を念頭に。

 

友達からは物が散乱した部屋の様子や壁に入った亀裂、通勤路の倒壊した建物、隆起した道路の写真が送られてきた。

自然は与えるが、時に奪う。災害がある度に人は備える事の大切さを学ぶけれど、きっと人間には日々の生活を送る上で最低限必要な屈託のなさが備わっていて、まさか自分がという思いは拭い去れないのだと思う。

 

未だ余震が続いていて、現地に住む人たちが寒い中不安な時間を過ごしていらっしゃる事を思うとやるせない。お正月休みに帰省していた娘さんを亡くしたお父さんが話すのを聞いた。取り乱す様子もなく淡々と語るその男性の口調に、彼を取り巻く惨状が表れている様で辛かった。

 

どうかこれ以上被害が広がることなく、皆さんに一日でも早く穏やかな日が戻りますように。

グッときた話。

半世紀も生きてきたのだから、多少の知恵はついてきたと思いたい。

でも世の中は私の知らない事で溢れている。

何ならテクノロジーの進化のおかげで様々な分野で私の耳には届かない色々な発見があって、きっと毎秒知らない事が増えているのだと思う。

ただ、言い訳かもしれないが、ここまで生きてきて知らない事は、きっと知らなくても困らない事がほとんどなのだと思う。

だから、置いてけぼり感をクレッシェンドで感じ始めている昨今は、必要な情報だけ、必要な時に得られればいいではないか、と多少の寂しさと共に悟りの境地に達していた。

 

でも、最近何の役にも立たない情報でも知るとグッとくるものがある事に気が付いた。もしかすると、これこそが最高のエンタメなのかもしれない、とまで思ったりしている。

 

ちなみに「グッとくる。」という表現は、みうらじゅんさんが何かの魅力を語る時によく使う言葉。心の赴くまま自由気ままに人生を楽しんでいる(?)様に見えて好きな人。

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で、今日は、直近の私がグッときたエピソードをお届けしようと思う。

 

慌ただしい年の瀬。家全体の大掃除をするまでの元気はないけれど、少し気になっていた個所をチョコチョコと掃除しながら、それとなしに流していたYouTubeで、たまたまピーナッツを収穫するシーンを見た。

 

皆様はピーナッツがどんなふうになるかご存知だろうか?

私は半世紀生きてきたけれど、頭をよぎった事すらなかった。でもそのシーンを見て目を疑った。

女性が枯れかかった膝丈位の植物を土から引っこ抜くと、まるでジャガイモか何かのように根元から泥のついた小さなピーナッツがぶら下がっていたのだ。

「ピーナッツは根菜!?」という俄かには信じがたい結論を導きそうなその映像を見過ごす事はできなかった。だから、思わず掃除用具をうっちゃって、真相を確かめるべくネットで検索をかけていた。

 

すると、まず得た情報はピーナッツとはその名が示すようにナッツ(木の実)ではなく実はマメ科の植物らしいと言う事。Pea+Nuts そうか、「ピー」グリーンピースのピーか!訳すと「マメ科のナッツ」。

『フッ、矛盾したネーミングだ!』

そう言えば、あのヒョウタンの様な殻。あれは豆の莢(さや)と言われればあまり違和感がないではないか!ピーナッツバターが好きで、ずっとお世話になってきたのに、今までそんな事さえ見過ごしていたなんて!!

ワクワクしてきた。

『でも、待てよ…。豆って普通、茎にぶら下がってなってるよね?』

土の中になる豆なんて聞いた覚えがない。

更に調べてみると、ピーナッツは、学校で習う一般的な植物とは一線を画していた。ご存知の通り、普通受粉した花はその子房が膨らんで実になるわけだが、何とピーナッツは受粉した雌しべが子房部分から子房柄(へい)という細長い根っこの様なものを下へ下へと伸ばし、その先端がいい具合に土中に達した時点でそこに水平に実をつけるというのだ!

『子房柄って何よ?伸びるってどういう事?そんなの聞いたことない!」

これも私の無知のなせる業で、他にも色々子房柄を伸ばす植物があるのかと調べてみても、ヒットするのは落花生ばかり。

suzuichi-s.co.jp

 

グッときた。新しい世界が見えた気がした。

気分が揚がり、ウキウキして嬉しくなった。

 

まぁ、役に立つかと言われれば、立たない。

実際、掃除の手が止まってしまって、数日経った今もそこの掃除は終わっていないのだから、何なら害があったかもしれない。

でも、ピーナッツがどうやってなるかを知れた私は、知らなかった自分より少し魅力的になれたような気がしている。