手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

グッときた話。

半世紀も生きてきたのだから、多少の知恵はついてきたと思いたい。

でも世の中は私の知らない事で溢れている。

何ならテクノロジーの進化のおかげで様々な分野で私の耳には届かない色々な発見があって、きっと毎秒知らない事が増えているのだと思う。

ただ、言い訳かもしれないが、ここまで生きてきて知らない事は、きっと知らなくても困らない事がほとんどなのだと思う。

だから、置いてけぼり感をクレッシェンドで感じ始めている昨今は、必要な情報だけ、必要な時に得られればいいではないか、と多少の寂しさと共に悟りの境地に達していた。

 

でも、最近何の役にも立たない情報でも知るとグッとくるものがある事に気が付いた。もしかすると、これこそが最高のエンタメなのかもしれない、とまで思ったりしている。

 

ちなみに「グッとくる。」という表現は、みうらじゅんさんが何かの魅力を語る時によく使う言葉。心の赴くまま自由気ままに人生を楽しんでいる(?)様に見えて好きな人。

www.youtube.com

 

で、今日は、直近の私がグッときたエピソードをお届けしようと思う。

 

慌ただしい年の瀬。家全体の大掃除をするまでの元気はないけれど、少し気になっていた個所をチョコチョコと掃除しながら、それとなしに流していたYouTubeで、たまたまピーナッツを収穫するシーンを見た。

 

皆様はピーナッツがどんなふうになるかご存知だろうか?

私は半世紀生きてきたけれど、頭をよぎった事すらなかった。でもそのシーンを見て目を疑った。

女性が枯れかかった膝丈位の植物を土から引っこ抜くと、まるでジャガイモか何かのように根元から泥のついた小さなピーナッツがぶら下がっていたのだ。

「ピーナッツは根菜!?」という俄かには信じがたい結論を導きそうなその映像を見過ごす事はできなかった。だから、思わず掃除用具をうっちゃって、真相を確かめるべくネットで検索をかけていた。

 

すると、まず得た情報はピーナッツとはその名が示すようにナッツ(木の実)ではなく実はマメ科の植物らしいと言う事。Pea+Nuts そうか、「ピー」グリーンピースのピーか!訳すと「マメ科のナッツ」。

『フッ、矛盾したネーミングだ!』

そう言えば、あのヒョウタンの様な殻。あれは豆の莢(さや)と言われればあまり違和感がないではないか!ピーナッツバターが好きで、ずっとお世話になってきたのに、今までそんな事さえ見過ごしていたなんて!!

ワクワクしてきた。

『でも、待てよ…。豆って普通、茎にぶら下がってなってるよね?』

土の中になる豆なんて聞いた覚えがない。

更に調べてみると、ピーナッツは、学校で習う一般的な植物とは一線を画していた。ご存知の通り、普通受粉した花はその子房が膨らんで実になるわけだが、何とピーナッツは受粉した雌しべが子房部分から子房柄(へい)という細長い根っこの様なものを下へ下へと伸ばし、その先端がいい具合に土中に達した時点でそこに水平に実をつけるというのだ!

『子房柄って何よ?伸びるってどういう事?そんなの聞いたことない!」

これも私の無知のなせる業で、他にも色々子房柄を伸ばす植物があるのかと調べてみても、ヒットするのは落花生ばかり。

suzuichi-s.co.jp

 

グッときた。新しい世界が見えた気がした。

気分が揚がり、ウキウキして嬉しくなった。

 

まぁ、役に立つかと言われれば、立たない。

実際、掃除の手が止まってしまって、数日経った今もそこの掃除は終わっていないのだから、何なら害があったかもしれない。

でも、ピーナッツがどうやってなるかを知れた私は、知らなかった自分より少し魅力的になれたような気がしている。