手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

大切な人

元旦の朝、ご近所さんからの電話で目が覚めた。

「ご実家は大丈夫?今ラジオで日本で大きな地震があって津波警報が出ているってニュースが流れてるわ。まだ知らなかったら確認した方がいいかも。」との事。

 

驚いてスマホを見ると能登でM7.6の地震があって近隣の県もかなり揺れた様子。私の実家は富山で家族や親類だけでなく大切な友達も住んでいる。まずは老齢の両親、家族に連絡し、その後知り合いに一斉に安否確認のメッセージを送ったが、すぐに返事は来ず、まさか、まさか、と悪い事が頭を去来し不安になった。

 

非常時にすぐに駆け付けられる距離に住んでいないので、こういう時は右往左往するしか手立てがない。ただ、有難い事に、今は皆とネットで繋がっているので、誰かと連絡が取れなくても他の誰かが返事をくれるので、30分後には全員の無事が確認できた。

 

普段の30分なんて、気を抜いているとあっという間だ。

でも、いまかいまかと何かを待っている時の30分はやたらと長いものだ。

 

新年の初日から肝を冷やす事になるとは思ってもいなかったが、私にとっては年初に家族の大切さや絆が確認できた事は良かったかもしれない。思い遣りや愛情は言葉や行動に表さないと伝わらない事の方が多いのだから、平時からちゃんと伝える努力をしないといけないな、と思った。今日と同じ明日が来るとは限らない事を念頭に。

 

友達からは物が散乱した部屋の様子や壁に入った亀裂、通勤路の倒壊した建物、隆起した道路の写真が送られてきた。

自然は与えるが、時に奪う。災害がある度に人は備える事の大切さを学ぶけれど、きっと人間には日々の生活を送る上で最低限必要な屈託のなさが備わっていて、まさか自分がという思いは拭い去れないのだと思う。

 

未だ余震が続いていて、現地に住む人たちが寒い中不安な時間を過ごしていらっしゃる事を思うとやるせない。お正月休みに帰省していた娘さんを亡くしたお父さんが話すのを聞いた。取り乱す様子もなく淡々と語るその男性の口調に、彼を取り巻く惨状が表れている様で辛かった。

 

どうかこれ以上被害が広がることなく、皆さんに一日でも早く穏やかな日が戻りますように。