ようやく修理日がやってきた。
レッカー移動をお願いすると20分ほどでやってきた若めのおじさん。
「こっちでーす!」と手を振って、位置を知らせると、
トラックから降りてきて、私の顔を見るなり
「あれっ?この間も車故障して、移動しましたよね。」
キョトンとなって、「えっ、そうですか?」と返事すると
「覚えてません?僕はちゃんと覚えてますよ。アジアの人ってそんなにいませんからね~。ハハハ。」
そう言えば2月、インジェクターが故障したことがあったっけ。
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そっか、あの時の人だ!
でもあの時は冬装備で、毛糸の帽子を目深にかぶってたし、第一こっちは突然の故障でハイになっていたので、移動してくれた人の顔をマジマジと見ていなかった。そして、今回は6月。帽子もなければ、綺麗に剃り上げていて髪もなかったので、まさか同一人物だとは思いもしなかった。
「ふふ。もう、常連さんですねぇ。今度はどうしたんですか?」と何だか含み笑いで聞かれたので、簡単に説明した。この辺から、ちょっとユーモアセンサーが反応。楽しい会話には飢えている。
前にも後ろにも動かなくなった車の状態を確認して、結局太いワイヤーを車前方にひっかけて、トラックの荷台に引っ張り上げる事にしたらしく、ワイヤーを引っかけたのだが、3mほど動いた所で「バッツン」と派手な音を立ててワイヤーが外れた。
思わず「ああああ!」と声を上げると、
「ほらそこっ!大声を出さない!」と笑顔で窘められた。
これで、センサーの針は大きく振れた。
楽しい会話には乗らないと、次いつチャンスが巡って来るか分からない。
「あら。貴方の命の心配しているのに!」と返すと
「ハハハ!僕の命って!」と笑い声。
そうやってふざけている間にも、ワイヤーは繋ぎなおされ、車は無事荷台に積まれた。「素晴らしい!記念撮影してもいいですか?」
とカメラを向けると満面の笑顔。楽しい。

修理にはきっと数日はかかると見ていたので、このトラックに同乗して修理屋さんに行ってしまうと、前回同様、帰りまた歩く羽目になるので、別の車でついて行きたいと思い、
「あの、修理屋さんの後、家に帰りたいので、別の車でついていってもいいですか?」と聞くと、
「あのねぇ、正しくは suivre ね。」
「えっ?」
「今、suivirって言ったでしょ。suivir じゃないの。 suivre 。語尾は R E。だから返事は、Oui, vous pouvez me suivre.」
「あら、知らなかったわ。勉強になりました。それにしてもあなたフランス語お上手ね。」と返しておいた。
会話の途中に、フランス語の間違いを、ここまではっきりと直されたのは初めてで、ちょっと感動した。今になって考えると、間違いだらけの文だと直し辛いが、間違いが一個だけだと、突出して指摘しやすいのかもしれない。
もしかして、早速独り学習効果が出ているのかもしれない…。
そんなに短期間で?興味のある方はnoteの方も覗いてみてください。
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ちなみに、別の車というのは、私がフランスの運転免許を取る前にしばらく運転していた最高速度45キロの免許無しで運転できる二人のりの自動車。何年も車庫に放置されていたのでバッテリーが使えなくなっていたのを、この程ご近所さんの友人の方の助けを借りて交換し、また乗れるようになった。
ボディはプラスチックで心許ないし、凄く揺れるし、エンジン音もうるさいので、乗り心地はあまり良くないが、売らずにおいて良かった。これがあれば近場への買い物には行けるし、娘のバス停への送り迎えもできる。Uberよりは安上がり。後続の車には迷惑かけちゃうけど。
そして、急いで家に帰ってこの自動車で現れると、オジサン、トラックから降りてきて、「あのねぇ。これ、車じゃないですよ。おもちゃです。」とのコメント。
「えっ?でも、45キロも出るんですよ!」と言うと、
「はい、はい。まぁ、ゆっくり走りますが、それでもそっちよりは早いだろうから、見失ったら修理屋さんで会いましょう。修理屋さんの場所分かりますよね?」
「はい。私が指定した修理屋さんなので。」
と、互いに冗談を言いながら、笑顔で出発。
こうして、無事に修理屋さんに到着すると、担当の人と話して車の鍵を預けた。さて、そもそも直るのか。幾らかかるのか。と心配顔を上げると、トラックのおじさんが待っていた。
お礼を言うと、
「では、また今度。」とお茶目に笑って、握手を交わし、去っていった。
一応、見送りに出て「Merci!」と再度言うと
「Avec plaisir!」と返ってきた。
トラブルの中での優しい冗談は心に沁みる。
おじさん、いい仕事してますよ。Bravo!