娘が人生初の岐路に立たされている。
目の前には、二つに分かれる道。
娘の「なかなか決められない」は、小さい頃からの性格で、洋服も、眼鏡も、アイスも、お菓子も、とにかく目の前にお気に入りの物が並ぶと選べなくてフリーズしてしまう。そうなると、家族や友達に色々聞いて、迷いつつ、人の倍の時間をかけて選択肢を絞る事になる。娘と一緒に買い物に行くと、私は待つ時間、手持無沙汰で本当に退屈してしまい、痺れをらして、最終的には予定より選び切れなかった2点、3点と多く買う羽目になる。まぁ、これが作戦なのかもしれないが…。
ただ今回迫られている選択は、今後4年間を決める進路だ。
彼女は大いに悩んでいる。「ここでもし選択を誤ったら…」と思ったら怖いのだと思う。
しかし娘よ、どの道を選んでもいい事もあれば良くない事もあるのが人生。
一見理想的に見える道だって、進んでみれば予期せぬ事に見舞われる事もあれば、逆に、それほど魅力的に見えない道だって、進んでみれば案外楽しい事が起こったりもする。私からすれば、どちらの道も、それなりに大変そうではあるけれど、冒険の価値はあると思うので、娘の決断を尊重するつもり。
しかし、ここ数日、頭を抱えて、眉間にしわを寄せ、ウンウン悩んでいる様子を見ていると、全然楽しい未来が見えていない様で心配ではある。もう少しワクワク気分を盛り上げてあげたくて、色々アドバイスをするけれど、返事は決まって「卒業後の将来の事を考えて悩んでいるの。大学は楽しければいいわけじゃない!」
私は高校時代勉強しなかったので、卒業後の進路は一つしかなかった。でもその一本の道を頑張って進んだら、もちろん両親の理解とサポートあっての事だけれど、運よくその先の道は次第に広くなっていった。そして将来の事はその時々で考えても間に合っていた。だけど、ここフランスでは子供達は中学生の時に興味のある分野での職業体験が必須だ。高校に進学すると早々に将来を見据えた選択を迫られる。そして、15~16才で決めた人生プランを大軸に、その都度微調整を加えながら進路を決めていく。
英語圏で学ぶ事は彼女の夢だ。でも、合格できた学部は、その人生プランから逸れてしまいそう、と心配なのだ。
フランスに残れば、好きな事を勉強できて、人生プラン的に見れば、順当な進路だ。でも、もちろん勉強は全てフランス語。
フランスに越して来てからというもの、ずっとフランス語がコンプレックスだった。英語セクションの成績は良かったのに、フランス語セクションの方は、英語よりずっと時間を掛けて懸命に勉強しているのに思う様な結果に繋がらない事が多かった。だから娘にとって、勉強の面でのフランス語は重い足枷だったのだと思う。
13才で父親を亡くし、この先またどんな不幸が降って来るかと身構える気持ちは分かる。兄はなぜか車椅子で、世の不条理さを目の当たりにしているのも分かる。だから石橋叩いて、できるだけ安全な道を進みたいんだよね。でもね、だからこそ、母は、貴女に、培ったその優しさを胸に、これからの人生をどん欲に楽しんで欲しい。
どちらの進路を選んでも、色々あるとは思う。でも、やはり最終的には「好き」な事を学び、「好き」な物に触れ、「好き」な人やモノやコトをどんどん増やす事が、大学生活の醍醐味。生きていくには不安と心配はつきものだけど、それだけに支配されて臆病になると、その先の人生を楽しくしてくれる「新しい好き」との出会いのチャンスを逃してしまう。
娘よ、希望と共に、勇気を出して、飛べ!
今は雨雲しか見えないようでも、あの向こうには必ず高く澄んだ青空が広がっているから。大丈夫、母はあなたの上昇気流になるよ。
"The way I see it, if you want the rainbow, you gotta put up with the rain."
思うにね、もし虹が見たかったら、雨を我慢しなくちゃいけないって事なのよ。
by Dolly Parton

母 by 愛娘(丸さ加減は正直ですが、随分可愛く描いてくれて愛を感じます。)







