手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

最近どお?

久々に近くの森へと散歩に出かけた。

そこは主人が好きで元気な頃よく一緒に散歩した場所で、暫く足が遠のいていた。

 

私は方向音痴で、大きな目印でもないと、その場で目をつむってグルグルっと2,3度回転したら、どこから来たかも、どこを目指すのかも見当がつかなくなる。主人は体に方位磁針が埋め込まれているのか、と思う程、森の中の枝分かれした小道をどこへ進んでも、ちゃんと出発地点に戻れる人だった。だから、私は、何も心配せずに周りの景色を楽しみながら歩く事ができた。

 

でも、今日は独り。最初はどこを歩いたか気を配っていたけれど、面白い形をした岩から岩へ、木から木へと進むうちに、早々にどこにいるか分からなくなってしまった…。今は文明の利器、グーグルマップがあるからいい様なものの、本当に独り歩きには向いていない。結局、地図を頼りにようやく車道に出てみると車を停めていた場所から100mほど離れた場所に出てしまった。方向感覚だけじゃなく距離感も欠落している事に気づかされ、軽くショックを受けたものの、静かな森で静かに思い出を辿れた事に感謝。

 

そう言えば、主人と自然の中を散歩していた時はお喋りに夢中で、あんまり目の前の樹木や岩などじっくり見る事はなかった様に思う。今日は独り。私を不憫に思い自然が話し相手になってくれたのか、はたまた自然はいつも話しかけてくれていたのに気が付かなかっただけなのか、木を見ても岩に触れても色々な思いが去来した。

 

という訳で、今日は、岩爺から聞いたお話をお裾分け…。

 

大きくなって、立派になると、「これで安泰」、と思うだろ。

じゃがな、平穏な日々の基礎なんて、案外脆いもんなんじゃ。

 

人間、独りきりじゃ生きていけないって事は、大抵の大人は知ってる。でも、そのいつも頼りにしている人や物が今どんな状況にあるか、って考えた事はあるか?

 

用事がない時にこそ、「最近どお?元気にしてる?」って聞くんじゃ。大事な人を大事にしなくちゃ、今に互いを支え切れなくなって、共倒れじゃ。