久しぶりに映画館で映画を観た。
カンヌ映画祭で役所広司さんが最優秀俳優賞を受賞した映画、Perfect Days.
とても良かった。
一見分からない人間の奥深さ、複雑さ、辛さ、奥ゆかしさ、優しさが描かれていて、人恋しくなった。
私自身は、あまり優しくない。
特にここ数年は、自分の精神状態に良くないなと判断すると、人間関係を迷うことなく断っていた。とは言っても、その都度「幼馴染や学生時代の友人とは何十年も仲良くしているのだから人嫌いなわけでも人付き合いが下手なわけでもない。」、と自身を慰めていたりするから、やっぱり近くに友達と呼べる人が欲しいのだと思う。
ただ、この年になると、他人に対する期待値は下がっているにも関わらず、ある境界線を越えると、一気に心が離れてしまう。「一線を越える」、とよく表現されるけれど、私の場合その一線は崖っぷちの様なもので、そこを跨いだ人は深い谷へと消えてしまい二度と這い上がっては来られない。
でも、今回この映画を観て、愛すべき人の多さを知り、懲りたと思っていた友達探しを再開したくなった。私の様に優しくない人間でも、生涯の友と呼べるような人が、自分さえ心を開けば、すぐ側にいるかもしれない、と思わせてくれた。
そして、これこそがアートのなせる業なんだと実感した。
まだ希望がある事を見せてくれる。
今日あたり、気になっていたあの人にちょっと声をかけてみようか。