最近、いい日だったなぁ、と思える日はありましたか?
これといって何もない平穏な日々こそがいい日だという事は平穏を失って初めて分かるもの。だからきっと気が付かないだけで人は案外多くのいい日を過ごしているのかもしれない。
でも、生涯忘れられない特別ないい日ってどんな日だろう。
山田洋二監督の特別な思い出
監督が話す自身の限界。
人情を描く時、人の優しさを描き出したい時、
自分の映画が達成し得る限界かつ最高の姿。
家族や友人がお互いを思いやり支え合う、というのは理解ができる。
でも見ず知らずの人の話に耳を傾け、見返りを求めずに手を差し伸べるのは余裕があっても難しい。他人と関わるのは少なからずリスクがあるから。
「善きサマリタン」が稀有の存在である所以。
戦後はそれまでの価値観が瞬時にひっくり返り、多くの人々が頼れる人もない中、苦しい生活を余儀なくされて、目の前の人の辛さを分かり合えたからこそ、他人にも自然に優しくできたのかもしれない。
この記事を読んで久しぶりに監督の作品「隠し剣鬼の爪」を観た。
優しく正直者で一見煮え切らない気弱そうな主人公が最後秘伝の技を使って悪を成敗する物語。
優しくて真っ当な人こそ思い通りに生きられない辛さがある。でもそういう人が内に秘める譲れない信念こそが人間の強さであり美しさなのかもしれないな、と思った。
そして、幕末の動乱期に翻弄されながらも懸命に生きる人々の姿も生き生きと描かれていた。渦中にある人間にとってみれば大変な事この上ないのだろうけれど、
右往左往しながらも浮き沈みする変化の波に何とか乗ろうと頑張る姿は愛おしい。
私は監督の様に大勢の人の人生に影響を与える事はできないし、
大した才能もなければ、余分なお金もないけれど、
誰かの平穏な「いい日」の一部になれればいいな、と思わされる。
私が皆さんのブログを読んで日々励まされている様に、
願わくは、私が綴る、私の日々押し寄せる大波小波の乗りっぷりも
誰かさんのちょっとしたエンタメになってくれると嬉しい。