手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

叱られて

40代後半。

褒められる事はまだ時々あるにしても(おばちゃんによくある勘違いかもしれませんが)、叱られる事はほとんどなくなりました。

 

叱る事はと言えば…、まだまだ日常で、親の義務感や責任感というよりは、放っておく事が不安で、ついつい口を出してしまう。

 

会社などで社員を教育する立場にある人などは、気が進まなくても他人を叱らなければいけない事もあると思います。

 

ただ、ずっと叱られていないと、叱られる側の気持ちを忘れてしまいがち。こちらは良かれと思って言っている言葉も、受け取る側にはかなりのダメージをきたしているかもしれない…。

 

というわけで、今日は久々に叱られたお話をしたいと思います。

これで、「叱られる」を追体験して頂き、今度やむを得ず誰かを叱る際には、一呼吸おいて、ふんわり優しさを乗せた言葉を選ぶきっかけになれば嬉しいです。

 

実は、私、ハワイの免許証が切れててからここ2年程、免許不要の最高速度50キロの小型車を運転しています。街中で日々の用事をするには十分なのですが、やはり遠出の必要がある場合などは不便で、運転中のストレスも大きいという事もあり、フランスの免許証取得を決めました。

言葉の壁があるので、フランス語での学科試験は多少不安でしたが、運転歴はそこそこあるので、学科さえ通れば後は心配なしと思っていました。

 

そして教習所に通い始めて2カ月、先月末無事学科試験に合格し、運転の練習が始まりました。

 

慣れない車という事もあり、恐る恐る運転し始めたら、初っ端から「もっとスピード上げて!」「もっと右に寄って!」「10秒ごとにバックミラー確認!」「ウィンカー出すのが早い!」「ハンドル切るのが早い!」などなど、間髪入れずに注意され、最初の15分で冷や汗と共に一気に自信が蒸発し「もしかして、私運転忘れた??」と焦りが生まれ始めました。

 

20年以上無事故できましたし、フランスへ越してからは何度も国境を越えた長距離運転もしています。冷静にハンドルを握れば何の問題もないはずなのに、教習所の先生とのパワーバランスは明らかに私が劣勢で、どこかで「教官の言う事は絶対だ。」という服従義務の様なものにスイッチが入り、その怯えが運転にも表れてか、なかなか法定速度までスピードを上げられず、何か話しかけられる度に思わずアクセルから足を外してしまい、その度に「アクセル!」「不要にブレーキ踏まない!」と畳みかけられ、1時間ちょっとの練習後にはまさかの疲労困憊でした。

 

次回は来週。

今度は車にも多少慣れたので、おそらくもっと落ち着いて運転できるはずだと思い直しましたが、もし私がもっと繊細で、全てを真に受けるタイプだったら運転が怖くなっていたのではと心配になるほど。

もちろん、人にもよると思いますが、注意され、叱られてばかりで、自信を持ち続けられる人は少ないのではないでしょうか。失敗しながら学ぶ事を許される若者であれば、或いは立ち直りも早いかもしれませんが、ある程度経験を重ねた年齢になって叱られるのは相当堪えると思われます。

 

みな40年、50年と生きてくると人生が順風満帆な時ばかりではないと分かっているはずで、辛い時期も経験していれば尚更、大変な思いをしている人の気持ちは分かるもの。

新しい環境に身を置く事を余儀なくされた人に接する際は、まず「きっと大変だろうな」と相手を思い遣った上で、言葉をかけたいな、と思わせられた一日でした。

 

 



“You know, somebody actually complimented me on my driving today. They left a little note on the windscreen, it said 'Parking Fine.”
― Tommy Cooper

あのさ~、今日、僕、まじで運転ほめられちゃってさ。

誰かは分かんないんだけど、フロントガラスにわざわざちっちゃいメモで、

「パーキングファイン」

だって!

 

注:ファインには「申し分ない」という形容詞の他にも「罰金」という意味の名詞があります。