手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

言の葉

言葉が見つからない、という状況はそうしょっちゅうある訳じゃない。

でもそういう時こそ、伝えたい思いは強い。誰かを励ましたい時、勇気付けたい時、誰かと感動を分かち合いたい時。でもいざという大切な時、溢れる思いを言葉に出来ないと、本当にじれったく遣り切れない。

 

渦巻く気持ちは、風の様なもの。確かにあるし感じるけれど、目にする事も手にする事もできない。髪が揺れ、スカートがはためき、花びらが散り、葉っぱが風に乗って舞い上がる時、初めてその動きの一部を少しだけ目にする事ができる。気持ちを全て正確に表すなんて不可能なのかもしれないし、必要ないかもしれない。でも曖昧模糊とした感情は言葉にして初めて自分もはっきり認識できる輪郭を帯びる。

 

そのためにもたくさんの言葉に触れていざという時のために溜めておきたいと思う。折れそうになっている心に響く優しく暖かい言葉も、思いやりのある厳しい言葉も、荒れた心を鎮める冷静で穏やかな言葉も、そして時には悲しく美しい言葉も、不安や怒りを吐き出す激しい言葉も。

 

生きていると色んな事があります。

でも、誰かの一言や、何かの本の一節、誰かの歌の短いフレーズで、勇気が湧く事もあれば、慰められる事があるのは、誰しも経験する事だと思います。

 

もちろん私は、作家でも、詩人でも、歌手でもないし、お金持ちでもなければ、権力のある立場にもない。だから集める言葉はあくまで、私の気持ちを柔らかく映し出してくれる、よそ行きじゃない言葉。

日々生まれる色々な感情が、伝えたい時に伝えるべき人にうまく伝えられる言葉。

そんな言葉を集めたいと思う。

 

 橘の 下吹く風の 芳しき 筑波の山を 恋ずあらめかも ー万葉集