手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

SMAのための経口薬、Evrysdi(一般名:リスジプラム)

Roche社、PTC Therapeutics社、そしてSMA Foundationが共同で開発したSMAの治療薬で初の経口薬となるEveysdi(リスジプラム)が、米国にて昨年8月に承認され、同10月には欧州でも承認されました。ただし米国では1型から4型までの全ての患者さんへの投薬が認められていますが、ここフランスでは現在2型までの患者さんのみが対象となっています。

 

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実はこのお薬、2018年に当時世界の主要国で進められていた治験段階で息子の担当医に参加を勧められたお薬です。色々なスクリーニング検査の結果、結局軽い異常がみとめられたため、参加はできませんでしたが、当時からお医者さんが信頼し期待していた様子が見て取れたので、承認を待っていました。

 

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幸い、息子は2019年の春からSpinrazaの治療を受ける事ができていたため、病状は比較的安定しています。ただ、ここ数回は針が脊髄に到達せず治療ができていませんでした。年齢や体型なども影響するのか、回を重ねる毎に難易度が高くなる様で、前回はスキャナーを使って8回針を刺しましたが成功せず断念せざるを得ませんでした。

治療を計画通りに進めるのが困難と判断され、担当のお医者さんが、承認間もないリスジプラムの使用許可を申請をして下さっていました。

 

Spinrazaは注射後3カ月後あたりから効果が薄れ始めるようで、去年の7月以来治療を受けられなかった息子は、昨年末ごろには目に見えて疲れやすくなり、上腕も動かし辛くなってきていました。コロナ禍の影響で、通っている高校でも新学年開始早々、毎週何件かの感染が報告されていて学校にも通えず外出もできていなかったため、健康の事、勉強の事、心理面の事などなど、色々心配が募り始めていました。

しかし、申請から3カ月となる先月末、ようやくお医者さんから特別許可が下りたとの連絡がありました。

 

そして昨日、丸一日かけて投薬開始の事前検査と診察を受けにパリの病院に行ってきました。前日興奮気味で3時間ほどしか眠れていませんでしたが、大量放出されたアドレナリンのおかげで、いつもはたどたどしいフランス語も幾分か流暢さが増し何とか全て無事乗り切りました!

 

説明書を熟読し、本日、記念すべき第一回投薬を済ませました!

毎日決まった時間に、お薬が入ったガラス瓶から処方された投薬量をシリンジで吸い取り、飲むだけ、といたってシンプル。軽い副作用が出る事もあるようですが、ほとんどの場合、数日中に解消するとのことです。

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米国では毎月薬が宅配されるようですが、フランスでは今のところ病院の薬局まで取りに行かなければいけません。これまでは、パリなんて3カ月に1回出かけるかどうかでしたが、これからは月一で行くこととなります。

 

出不精の私にとって大きなストレスになる事間違いなしですが、希望と共に頑張ります。これで私も、月一パリジェンヌ。パリも少し散策し、時々写真などもお裾分けできれば、と思っています。

 

日本でもリスジプラムは希少疾病用医薬品に指定されていて優先審査の対象となっているようで、承認も間近と思います。

 

一日でも早く、全ての患者さんが何らかの治療を受けられる日が来るよう、祈りながら。