先日、我が家の車庫が水浸しになった。
色々な人の助けを借りて辿り着いた業者さんが、土曜だというのに雨の中来てくれて、機械を使ってパイプを派手にゴボゴボ言わせながら詰まりを解消してくれた。
車庫の中は、イヤな臭いが立ち込めて、何が詰まっていたのか、考えるのも恐ろしかった。
詰まらせようと思って詰まらせたわけじゃないけれど、水浸しになるまで何もしなかったのは私で、業者さんも仕事とは言え、週末に我が家の排水管の詰まりと格闘させるのは申し訳なく、この上なく恥ずかしかった。
あーだ、こーだと言っている私を見て、息子は言った。
「プロなんだし、配管工の仕事を選んだんだから、きっと遣り甲斐を感じてるんじゃないの?高いお金も払ったんだし、『お世話になりました。ありがとう』、でいいんじゃない?」
そうか。息子よ、その通りだ!
好きでやっている仕事で誰かの役に立てるって事は幸せな事のはずではないか。
排水管が詰まらない事に越したことはないけれど、また詰まっちゃって自分で対処できなくなったら、安心して頼める人に出会えた事に感謝しなくちゃいけない。
恥ずかしい気持ちや申し訳ない気持ちが無くなったわけじゃないけれど、おかげで気持ちよくお礼ができた。業者さんのお兄さんはちょっと得意げな笑みで「これで心配いりませんよ。また何かあったら、いつでも連絡して下さい!」と返してくれた。
作業着らしからぬ細身のジーンズの裾は汚れてしまっていて、明るいグレーのパーカーも雨に濡れていたけれど、その表情に暗さはなかった。
こちらでは、普通の仕事の範囲を超えて対応してくれた人には心付けとしてちょっとしたお菓子などを渡す習慣がある。私は柿の種が大好きで、日本帰省時にたんまり買ってきていたのが、まだ少し残っていたから、支払い時に小切手と一緒に「C'est une petite chose japonaise.」と言って渡した。
「ありがとう!日本食は大好きだけど、これで日本人も好きになりそうだな。」、とウィンクをくれた。
排水管すっきり。気持ちもすっきり。
痛い出費でしたが、明るい気分になりましたとさ。
今日の表現
la chasse d'eauー洗浄(トイレの水を流す事)