4カ月程前に、フランスという異国の地で大切な家族を亡くし、その後独り、拙いフランス語で種々の手続きを進めてきましたが、ここへ来て車椅子の息子を連れてパリへ出向く必要が出てきました。
アメリカへの提出用書類に、公証人の前で署名をするためです。
健常者であれば半日もあれば簡単に済ませられるこの手続き。
しかし、車椅子での移動は一筋縄ではいきません。
これはきっと何処に住んでいても言える事だとは思いますが、アメリカや日本と比べると予期せぬ事が起こる頻度が格段に高いヨーロッパでは、「物事が滞りなく進む」=「奇跡」です。
これは、前回の投稿で紹介した息子のコメント通り…。
しかし、一度失敗したからといって、「あきらめる」という選択肢はありません。
どんな些細な手続きでも期限があり、ミッションの遂行はMUSTです。
という訳で今回は前回の後談。
まずは失敗から学ぶ事から始めましょう。失敗は成功のカギですもんね。
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電車が過ぎ去り、やり場のない悔しさとイライラと共に息子と取り残されたホーム。
「納得いかないし、ちょっと駅員さんと話そう…」とあきらめ顔の息子を連れて切符売り場へ。
私:「あの~、すみません。」
駅員さん:「Bonjour!」
私:「Bonjour (いい日でなくとも言うのです)さっきのパリ行きの電車に車椅子の息子と一緒に乗ろうと思って、車いす用の看板の下で待ってたんですけど、車椅子用の乗降口がそこで止まらなくて乗れなかったんですよね…。」
駅員さん:「えっ、そうなんですか?車椅子のサインの所で待ってたのに?」(私のフランス語が下手なので、フランス人はよく私の言った事を確認するように繰り返します)
ここから始まって、下手なフランス語で長々と回りくどい説明をした後、以下の事が判明:
- この駅では長い、短いに関わらず、電車は常に長い電車用の所で停車するので車椅子利用者は常にホーム一番奥の指定乗り場で待つ事。(駅員さんと二つ看板があるのを確認し、利用者の混乱を招くのは理解頂きました。上に報告するとの事)
- 心配であればAccess Plusというサービスに前もって連絡すると電車へのアクセスが保証される事。(電話番号とURLを頂きました。)
- 電車の出発時間の20分前に駅に来て、問題が生じた時に備え駅員に知らせてほしい事。
色々言いたい事はありますが、ここはグッと堪えて、同じ失敗を繰り返さないためのルールが分かったのでヨシとしました。
この後、家に帰るのにまた一苦労ありました。
帰りの車いす用のバンは、帰りの電車の時間に合わせてお願いしていたので、6時間後のお迎え予定。バンの運営団体に電話して、帰りの時間を変更できるか問い合わせましたが、予想通り予約が一杯で無理との事。
仕方がないので、家の最寄駅まで電車で移動する事に。
来た電車には車いす用の乗降口はあったものの、ホームと電車の入り口の隙間を橋渡しする自動スロープは設置されておらず、運転手さんと駅員さんが右往左往して電車内に手動のスロープがある事を発見。
運転手さん曰く「車椅子のお客さんは今回がはじめてなんだよねぇ。これで次からはスムーズに対応できるよ!」といたってポジティブ。
最寄駅に到着後は、徒歩で帰宅と相なりました。
炎天下の中、1時間弱かけて汗だくで帰宅したら
家でお留守番していた娘が
「おかえり~。早かったね!」と
嬉しそうにお出迎えしてくれましたとさ。
次回へつづく。