小さな兄弟げんかに始まって、他愛もない夫婦喧嘩や友達との口論、知り合いとの諍いに、ライバルとの競争。地域間の紛争、異宗教間や外国との利権をかけた戦争…。
いつの世も生き残りをかけた戦いが絶えず繰り広げられている。
辛いのは、命を投げ出して戦う戦士たちは、敵味方に関わらず、何か守るべき大切な物があって戦っているという事。親、兄弟、家族、友達、恋人、母国、信条、信仰。自分の命を犠牲にしてまでも守りたいと思うもの。
大切な物のために、自分の命をも顧みず果敢に戦う。それは時に美しくさえ映る。
でも、対峙する敵の一人一人も、多くの場合、守るべき物を心に覚悟を決めて戦いの場にいる。それは言うなれば鏡に映るもう一人の自分。
何持ってるの?by Yamato piece
美しい自己犠牲心を鎧で固め、信じる旗の下、肩に重い武器を担ぎ、狙いを定める時、もう一人の自分が全く同じ気持ちで自分を狙っているのである。
戦士の尊ばれるべきその崇高な自己犠牲に基づく愛と勇気は、自分の目の前に立つ敵が、色違いの鎧を付けただけの、模様の違う旗の下に立つ自分自身である事を気づかないという悲しい愚かさによって、また取り返しのつかない悲劇を生む。
人は誰でも、愚かで、美しく、愛し、愛されるべきもの。
皆、不器用ながらも懸命に生きている。
私も、あなたも、そしてこの人も、あの人も。