手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

突如、姉

私の姉は小さい頃から大の本好き。

 

両親に買ってもらった集英社のマーガレット文庫全集は彼女の宝物で、守りが固く、小さい頃は触らせてもくれなかった。全く記憶には無いが、彼女が小学校の頃に図書館から借りてきた本に私がハサミを入れたらしく、以来、本の価値など分からない危険怪物としてしか見られなかったようだ。

 

読書好きが高じてか、姉は働き始めてからも、子育て中も、ずっと「今は時間がないけど、面白いネタは沢山ある。時間ができたら、お話しを書くんだ。」と言っていた。

 

で、今年の春にカクヨムで物語を投稿した際には、そのセンスを見込んで姉にも読んで貰い感想を聞いた。その時にブログを書いている事を伝えていたのだが、どうやら、それがずっと温め続けていた創作意欲に火をつけたらしい。

 

yamatopiece.hatenablog.com

 

と言うのも、フランスに帰ってきてポツポツと帰国記を綴り始めて数日後、姉から鼻声で電話があったのだ。

 

「ね゛ぇ、私さ、コロナにかかっちゃてね゛、今お休みしてるんだけどぉ。あな゛たのブログの事思い出してぇ、読んだのよ~。でさぁ、私ぃ、お返事、書いたの゛。自分で言うの゛もアレだけど、面白いの゛が書けたの゛よ!だから、良かったら゛ブログに゛載せてくれな゛い?ほら、文学作品でもあるじゃない?往復書簡って言ったけ?そしたら゛さ、あなたの゛ブログも一気に゛人気にな゛って、んで、どこかの編集者さんの゛目に゛留まって…。ね゛、一緒にデビューも夢じゃな゛いかもっ!!」

 

というわけで、今日は少し妄想が過ぎる姉からのお返事をお届けします。

姉の妄想に油を注いで燃え上がらせたい方、お知らせ下さい。きっと勇んでまた返事を書いてくれるに違いありません。

 

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 往復書簡 風にのせて

 

 あなたが日本を目指して一つひとつのミッションをクリアしている間、私はただただ祈っていました。フランスからの飛行機が無事に日本に着くことを。


 あなたのブログを読んで、あなた方を助けてくれる数々のヒーローが最高のタイミングで登場していたことを知り嬉しくなりました。


 あなたの最愛の家族が天に召されてから、2度目の夏がやってきました。昨年、日本を目指そうと計画したけれど、不安定な世界情勢のため、断念しましたよね。年老いた両親が、それをとても残念がっていたことを思い出しました。あなたの息子が困らないように、家をリフォームして待っていたのですから。


 この夏、直接会っておしゃべりできたことも、本当に楽しかったけれど、その時々には言葉にしなかった思いを、あなたがこうして書き記してくれて、読むことができるなんて、なんと素敵なことだろうと、還暦を目前にした私は、いたく感動しています。

 

 そこで、求められていないのにお返事を書くことにしました。そう、あなたのブログに突撃訪問です!

 「古き良き時代」、とすでに遠い過去のように昭和を表現することもありますが、なかなか、私たち兄弟姉妹にとっては、良き時代、というよりも、生きていくのに必死な時代でしたよね。


 6人兄弟姉妹の私は2番目。あなたは5番目。年の差、7歳。私が高校卒業して家を出たとき、あなたはまだ小学生でした。あなたが中学生になり、アメリカに飛ぶと聞いた時は、本当に驚きました。今思うと、そこが、全ての始まりだったようですね。


 あれから35年。何と、あなたは今、フランスで暮らしながらこれからの人生をどこでどう過ごそうか模索しています。私はと言えば、親離れできない娘だったのに、生まれ故郷から700キロ離れた土地に住まいを構えました。

 

 そう、そして、この夏、普段は遠く離れて暮らす私たち姉妹は、久しぶりに実家での再会を果たしました!年老いた父は、想像を絶する騒々しさに閉口し、何度か、子どもの頃のように叱られましたよね。互いにキャッキャと笑いながら「静かにしなさいよ!」、と肘で小突き合いつつも、あと何回こんな風に父や母と賑やかに過ごせるだろう、と思うと、心の中に熱いものが込み上げてきて、笑っているのか泣いているのか分からなくなってしまいました…。


 長くなりました。また、ブログの更新楽しみにしています。あなた方3人組が日本についたあと、どんな旅が繰り広げられたのか、とても興味があります。
 それでは、また。

姉が「ぜんぜん人参ならなくってさぁ」、と母に相談したら

「そりゃならないでしょ。」と言われたマリーゴールド