手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

パリ、ぼっち散歩

以前にも書きましたが、わたくし、出不精です。

パリから電車で1時間ちょいの所に住んでいますが、どうしても外せない用事でもない限り、自分から進んで行きたいとは、全く思いません。

 

なので、友達に「フランスの生活慣れた~?きっと楽しい事一杯なんだろうねぇ。」と羨まし気に言われても、返事のしようがありません。

「○✖は素敵よ~」とも「○▽は美味しくって、週一で通ってるわ~」とも言えません。

だって、パリに行く事を考えただけで、ストレスで頭痛がするんです。

 

しかし、外せない用事、できてしましました。

子供達のパスポートの更新です。秋には切れてしまうので、大好きな実家に帰るためにも、どうしても必要です。

 

という訳で、先々週、一人でパリに行ってきました。

 

独りぼっちのパリは何カ月ぶりか…。気分は、気が付けば見知らぬ地に迷い込んだ放浪者。

これで、今は昔、紙の地図を片手に目的地まで行けと言われれば、方向音痴の私にはお手上げです。しかし、今は現代。ポケットにスマホさへがあれば、言葉なんて通じなくたって、どこへだって行けちゃうんです。外国語の教科書には必ず載っている「道を尋ねる」チャプターも必要なくなっちゃいました。社交性に欠ける私にとっては、見ず知らずの、親切かそうでないかも分からない道行く人にへったくそなフランス語で話しかけなければいけない状況も避けられます。スマホ様様!

 

おかげで、都会を移動するストレスはあったものの、日本大使館には難なく到着。必要な書類の提出にかかった時間は5分…。往復3時間かかるパリまでせっかく来たのに、これだけでとんぼ返りするのは、流石にもったいない。

 

なので、通りかかったまだお昼前でお客さんのいないベーグル屋さんに立ち寄り、サンドイッチを頬張りながら、日本大使館の近くで面白そうな美術館はないか調べました。すると案の定、ありました、ありました。パリは小さな美術館が多数散在しているので、行く先々で、歩いて行ける距離に必ずと言っていいほど美術館があります。

しめしめ、と自然に笑顔になるのをカモフラージュするために、口元にナプキンを…

と、何やら視線が!

 

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これは無理だろう、と裏っ返すと、そこにも男性像。

仕方がないのでナプキンの端~っこの方で口元をぬぐいました…。

 

今回選んだのは日本大使館と同じ8区にあるMusée Jaquemart André。f:id:yamatopiece:20180730201449j:imagef:id:yamatopiece:20180730202619j:image

元々は裕福な美術品収集家の個人邸でしたが、1912年Jacquemartさんの遺言に従ってフランス学士院所属の美術館となりました。 ヴィーナスの誕生などで有名な初期ルネッサンス画家のボッティチェリや、様々な肖像画や宗教画、エッチングを手掛けたバロック画家のレンブラントなどの作品も展示されていて、小規模ながらも、見ごたえ十分な美術館でした!

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そして、何よりも、人混みが苦手な私には、どこの部屋を回っても多くて2人か3人ほどしか観覧者がいなかったのが良かったです。気に入った作品の前でゆっくり立ち止まっても誰の邪魔をする心配もなく、小さな部屋でも酸欠に陥りそうな不安もなく、落ち着いた気持ちで静かに心行くまで鑑賞できました。

美術館を出て、そのまま帰ろうかとも思いましたが、ブログを時々訪ねて下さる皆さんにパリの空気をお届けすべく、運動不足の解消も兼ねて、美術館から真っすぐにセーヌ川を目指して散歩する事に。その日は、それほど暑くなく散歩日和。でも、人混みと車の多さに空気の悪さに、15分もすると後悔し始めました…。

てくてく。途中のSaint-Augustin教会を見たら帰ろうかな、と思い始めましたが、着いてみたらお昼休みで閉まってました。教会まで昼休みとは、流石おフランス。午後の開扉時間まで30分…待とうかな、とも思いましたが、教会前の階段で仲睦まじいカップルがイチャイチャしており、こっちの方が恥ずかしくなり、最寄りのSaint-Madelaine教会までさらに歩く事に。

Saint-Madelaineはナポレオンがフランス軍を讃えるための神殿として、ローマの神殿を模したデザインで建築が開始されたそうですが、ナポレオン失脚後、元々建設が予定されていた聖マドレーヌに捧げるカトリック教会として使われれる事になったとの事。そのためか、外観だけ見ると、教会には見えません。

www.eglise-lamadeleine.com

中は平日の午後2時過ぎにも関わらず、混んでいて、ザワザワ。人だかりが苦手な私は目の奥がズーンと重くなり出し耐えられず、15分ほどで降参。19世紀に建てられたとあって比較的新しい教会ですが、何故か私はもっと古い時代の建築の方が好きなようです。何というか、あの17世紀以降に建てられた建築物は、どっしりと威張った感じで、権力を見せつけようとする感じと言えばいいでしょうか。そう、日本の国会議事堂みたいな感じで、私が魅力的に感じる、繊細で移ろいやすいけれど、時代を超えて受け継がれていく普遍的な柔らい美しさに欠けるんですよね。

 

人混みと排気ガスですでに十分ダメージを受けた私は、そろそろメトロに乗って帰途につこうかと思いながら教会を出ました。しかし目の前に見えたのは…f:id:yamatopiece:20180730201943j:image

オベリスクがそびえ立つコンコルド広場。そう、3000年以上も前のラムセス2世の治世を讃えるヒエログリフが刻まれた、あのオベリスクです。19世紀にパドル船にてエジプトはアレキサンドリアからはるばる運ばれてきました。

そう言えば、オベリスクも近くで、じっくり見た事なかったなぁ、と思い、ニンジンを鼻先に吊るされた馬の如く、自然と足がそちらへ。

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でも、この日は近々何かイベントがあるのか、柵やらテントやらがゴチャゴチャと設置されており、結局近くには行けず、がっかり。せっかく歩いたのに…。

 

コンコルド広場を歩いて、最初の目的だったセーヌ川の川岸までたどり着き、エッフェル塔をしばし眺めた後、バスに乗って帰途につきました。

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この日の歩数は11,343歩。何はともあれ、ちゃんとパスポート申請書類も提出できましたし、いい美術館を観て、いつになく頑張って沢山歩いたので、褒めてあげるとしましょう。