手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

別れ

寒く薄暗い冬が終わり、暖かな日差し溢れる春が来ると、

人も自然の摂理に従い、冬眠から覚めるように、前に進む力が湧いてきます。

よく、春は新しい出会いの季節、と言いますが、それを裏返せば別れの季節でもありますよね。子供が進学や就職で親元を離れるのも、職場の異動で慣れ親しんだ仕事仲間や町と別れるのも、この季節に集中します。

 

そして、別れをより実感するのは、おそらく残される側。座る人のいない椅子、寝る人のいないベッド、少なくなる洗い物、消えてしまう匂い、少し静かなご飯時。

 

この春、我が家にも別れが訪れ、

フランスに越してきたときは家族5人だったのが

この8年で私と子供二人の3人になりました。

 

生きとし生けるもの、生を受けた瞬間から最期は避けて通れません。

一人ひとりに与えられた時間は、本人は知る由もなく、ただ刻々と過ぎていきます。

自分の大切な人との残された時間も、少しずつですが少なくなっていきます。

だから、大切な人との今を、思いやりの心と分かち合いの心を持って、互いに幸せだなぁ、と感じられるよう大事に過ごしていきたい。

どうあがいても、いつかは来てしまう別れの時に「幸せな時間をありがとう」と互いに言い合えるように。

 

もちろん今後の心配や不安は多々ありますが、私たち家族は、幸いにも平和の中で故人を見送る事ができ、日々悲しみや寂しさと向き合い、寄り添い励まし合いながら暮らしていけている事に感謝です。

 

どうか皆さまの今日が幸せでありますように。