手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

RO7034067臨床試験SUNFISH-スクリーニング検査

去る6月11日と12日の二日間、パリの小児科病院で治験参加に向けたスクリーニング検査を受けてきました。

 

我が家はパリまで電車で1時間ちょっと、車でも渋滞がなければ1時間半強の距離にあります。でも、平日にパリまで渋滞がないなんて事はあるわけもなく、ラッシュアワーともなると裕に3時間はかかります。今回の予約は朝8時半という事もあり、車で行くとなると遅くとも5時半に家を出ないといけなに計算に…。その日丸一日検査して帰宅し、翌日も同じスケジュールで移動するとなると、これは辛い。

 

では、電車はどうか、というと、車椅子での電車移動は、奇跡的にすべてが予定通りにいったとしても困難極まりない!そう、ここは忘れる事なかれ、おフランス。良くも、悪くも、すべてがゆる~い感じで動いているので、介助をお願いした駅に駅員さんがいるのか、その駅のリフトは動く状態なのか、エレベーターは故障していないのか、そもそも電車は予定通りの時間に発着するのか等々、心配し始めると切りがありません。

 

という訳で、今回は日曜にパリ入りし、病院近くのホテルで2泊する事にしました。そして、ついひと月前に登録したばかりの県が運営する障害者用のタクシーを使ってみる事にしました。電動車椅子でそのまま乗り込めるので、誰かに押してもらう必要がなく、息子も自由に動き回れるのがいい所。

 

初めてのタクシーは多少連絡が行き届いていないところもありましたが、それでも無事目的地に到着。その日お昼を食べて近くのBrocante(蚤の市)を見て回る余裕もありました!

 

そして、検査当日。

お医者さん数名、看護婦さん数名、事務担当者と、息子は常に沢山の大人に囲まれて次々と色々な検査が進められました。計5時間にも及ぶ運動能力テストに始まり、肺活量、眼科検診、心電図、血液検査等々。見ていても大変なのは明らかでしたが、わが息子、弱音を吐かずに頑張りました。あっぱれ!

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検査から10日後、追加検査が必要との事でまた、パリへ招集がかかりました。

しかし、息子は中学校最後の学力テスト(Brevet)を数日後に控えてちょっと風邪気味だったため、パリまで出向くのは体力的に難しい旨説明して、近くの病院で検査をしてもらいました。約束通り、ちゃんと検査結果をパリの病院に送ってくれるといいのですが…。

 

7月10日には被験者選定が完了するとの事。

さて、結果は如何に?

RG7916臨床試験参加に向けたスクリーニング検査

このブログでも以前紹介した臨床試験中のRG7916ですが、昨年末の定期健診時にパリの小児神経科のお医者さんから被験者募集中との説明を受けました。

 

yamatopiece.hatenablog.com

 

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 息子とも相談した結果、参加してみたい旨伝えてから半年、いよいよ来週の頭に、参加資格があるかを調べるスクリーニング検査を受ける事になりました。

この第2フェーズ臨床試験はSUNFISHと呼ばれており、第一部と二部に分かれています。第一部では、51人の被験者を対象に薬の投与量を決めるための試験が行われ、第2部では、168人の患者さんを対象に第一部で決められた投与量でどのような効き目または副作用があるかを調査するとの事です。第一部はすでに完了しており、現在被験者を募集しているのは第二部です。試験は25カ月に渡り行われますが、最初の12カ月は被験者の3人に1人は薬の効果や安全性を比較検証するためプラセボ投与となります。

昨年7月にEUでもSPINRAZAが承認されて1年弱、フランスでも脊髄注射による治療が始まっていますが、息子のお医者さんによると、治療が開始されて、まだ間もない事もあり、3型の患者さんへの効果はまだはっきりしていないとの事。また、脊髄注射はどうしてもリスクが伴うため、緊急を要さない3型の患者さんには、選択肢として提示するものの、現時点では効果は約束できないという立場でした。

わが息子、15才になりましたが、ここ数年でグンと成長し、身長は180cm、体重も随分増え、健常者であれば喜ばしい事この上ない成長ぶりですが、SMAを患う息子にとっては父親の身長を超えて誇らしい部分もあるようですが、大きくなって重たくなった体を動かすのは一苦労。ここ一年程は徐々に動くのが難しくなって、1年半位前は手すりに摑まればトイレやお風呂へも歩けていたのが、今では調子の良い時でも介助を受けながら5歩前後が精一杯です。そして、何もしなければ、これからも筋力は少しずつ衰えていきます。

日本が大好きな息子。おじいちゃん、おばあちゃんが大好きな息子。でも、実家は、トイレに段差、お風呂に段差と行く手を阻む障害物だらけ。息子の病気の進行が抑えられ、少しずつでも筋力が回復して、また実家のお風呂に入れるようになるといいな、と願いつつ、来週のスクリーニング検査に行ってきます。

SMA治療法に関する発表内容~2018年AAN年次学会(米国神経学会)~

去る4月21日~27日、ロサンゼルスでAAN(米国神経学会)の年次学会が行われました。神経学に関る最新の研究成果や臨床試験の結果が発表されました。

これまで、このブログでもお伝えしてきたSMA(脊髄性筋萎縮症)のための新薬関連の結果や成果も多く発表された様ですので、簡単に発表内容をお知らせしたいと思います。

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⒈ 遺伝子治療 AVXS-101

まずはAveXis社開発のAVXS-101関連ですが、同社はこれまでSMA1型と2型の患者さんを対象にした臨床試験を行ってきましたが、今回、新たにSPR1NTと呼ばれる臨床試験フェーズ3が開始され、こちらの試験は3型の患者さんまで対象枠が広げられ、最初の被験者グループに薬が投与されたとの事です。このSPR1NTは、13か国で臨床試験が行われる予定で、日本も参加国の一つに挙げられています(臨床試験実施医療機関東京女子医科大学遺伝子医療センター;担当:齋藤加代子先生-

「自分の目の黒いうちに治したい」 斎藤加代子さん|WOMAN SMART|NIKKEI STYLE

また、AveXis社では、SPR1NTと並行して、SMA1型を患うの生後6カ月以内の乳児を対象にしたSTR1VEと呼ばれる臨床試験フェーズ3への被験者の登録、並びに2型の乳幼児(生後60カ月以内)を対象としたSTRONGでも被験者の募集も行っています。

 

SMA1型を患う子供達は、通常、平均、生後10.5カ月で人工呼吸管理などのライフサポートが必要となり、9割以上が生後20カ月以内に亡くなると言われます。STR1VEでは、AVXS-101よる一度の遺伝子治療の目標として、生後14カ月の時点で人工呼吸管理が不要、生後18カ月時点で支え無しで30秒以上独り座りができる事を掲げています。

 

今回の学会では、2014年5月から2017年12月までの期間行われたSTR1VE臨床試験フェーズ1の被験者の投薬後24か月検査結果も発表され、それによると被験者15名のSMA1型の子供達の全てが生存しており、常に人工呼吸器を必要とする子供は一人もいないとの事です。15名の内、高用量を投与された12名の子供達の中には30秒以上一人で座る以外にも、寝返りができるようになったり、歩く事ができるようになったりした子もいるとの事です(最年長の子供は生後46.2カ月)。治療後24カ月時点で12名中、11名が「30秒以上一人で座る」という目標を達成したと発表されました。また、AVXS-101の安全面についても、引き続き問題は見つかっていないとの事です。

 

⒉ 経口錠剤 RG7916(SMN2のスプライシングに働きかけ機能SMN蛋白を増やす)

今回の学会では、全てのRG7916の臨床試験(SMA1型乳児対象のFIREFISHーフェーズ2/3、SMA2型&3型対象のSUNFISH-フェーズ2/3&JEWELFISH-フェーズ2)において、投薬期間後、機能SMN蛋白の量が治療前と比較して、最高で6.5倍まで増えた事が発表されました。

以前もお伝えしたようにSUNFISHの臨床試験は日本でも実施予定で、福岡市立こども病院、兵庫医科大学病院、広島大学病院国立国際医療研究センターではすでに募集が開始されています。

 

yamatopiece.hatenablog.com

 

脊髄注射 Spinraza(SMN2のスプライシングに働きかけ機能SMN蛋白を増やす)

SMAの治療薬として唯一承認されたSpinrazaの臨床試験フェーズ3の途中結果が発表されました。SHINEと呼ばれるSMA1型の乳幼児を対象とした臨床試験では、全ての被験者に運動能力と呼吸機能の向上が見られているとの事です。また、SMA2型、3型の患者さん(年齢幅:2~15才)では、数回の投薬後に6分間歩行テスト(6MWT)が行われ、治療前に比べ中央値で98メートル歩行距離が伸びたと報告されました。薬の安全性についても、新たな問題は見つかっていない様です。

スピンラザの治療についての詳細は以下のサイトに説明があります。

https://www.pat.spinraza.jp/content/dam/commercial-jp/specialty/spinraza/pat/ja-jp/pdf/it_guide.pdf

 

日々研究開発に勤しんで下さっている皆様に感謝しつつ、

早く患者さん全てに治療がいきわたる日が来るよう祈りながら、

今日も一日大切に生きたいと思います。

 

 

SMA1型のための遺伝子治療薬AVXS-101が日本の「先駆け審査」に指定されました

去る3月27日、以前、このブログでもご紹介したAveXis社のSMA1型並びに2型向けの遺伝子治療薬AVXS-101に、日本の「先駆け審査指定制度」が適用される事になりました。

markets.businessinsider.com

www.mhlw.go.jp

これは同新薬の治験フェーズ1の結果に基づいた判断で、アメリカの「Breakthrough(革新的新薬)指定」、「Orphan drug(希少疾病用医薬品)指定」やヨーロッパの「PRIority Medicines(優先審査指定医薬品)」に続く適用となります。

日本は一般的に、新薬の承認に時間がかかる事で知られています。審査が迅速に行われる事で、難病を患っている患者さんとそのご家族のためにも、他国に遅れずに新薬による治療が開始される事を祈っています。

 

世界中で新薬の研究開発に携わって下さっている方々に感謝しつつ、

今日も大切に過ごしていきたいと思います。

過去の良い事も悪い事も、みんなひっくるめて、今の自分ができている

後悔。人間、長く生きてくると良い事ばかりじゃなくって、悪い事も一緒に積み重なっていきます。

私も、色々やらかしたので、「あんな事しなきゃ良かった」とか「もう少し、ああしてたらどうなってたろう」と、考え始めると切りがありません。

でも、現在の自分を見てみると、家族も何もかも、代え難い大切なものばかりです。

だから、ここまで自分を運んで来てくれた、過去のいい経験にも苦い経験にも感謝して、今日の自分より、明日の自分が、与えられた状況下で精一杯良い選択ができるように、心を込めて、願いを込めて、丁寧に生きていくのみです。

アラフォー、そろそろ言い訳の効かない、いい大人。

過去の私よ、これからの私のいい道標となっておくれ。

 

“Sleep my little baby-oh                                   私の可愛い赤ちゃん、ねんねして
Sleep until you waken                                      目が覚めるまで、ようく、ねんねして
When you wake you'll see the world                目が覚めたら世界が見えるよ。
If I'm not mistaken...                                         私の勘違いじゃなかったら…

Kiss a lover                                                       まず、愛する人に口づけをして
Dance a measure,                                            1小節分、ちょっとだけ踊ったら
Find your name                                                 きみの名前と
And buried treasure...                                       埋もれた宝物を見つけるんだ。

Face your life                                                   そして、人生に立ち向かうんだ。
Its pain,                                                            辛い事も
Its pleasure,                                                     楽しい事も
Leave no path untaken.”                                  通れる道は全て通ってね。
Neil Gaiman, The Graveyard Book

「絵ぐらい誰にだって描ける」へのチャレンジ第一弾 ~白い熊~

さて、普通の画用紙と、子供の筆箱から借りた、これも至って普通の鉛筆と消しゴムで絵を描いてみるチャレンジ第一弾!

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絵を描く時には、何を描くか、というのが最初に直面する問題です。

やはり、何事も、「面白くて止められない」という境地に達する事が、才能開花への一番の近道だと思うので、まずは、描きたい物を見つけるのが大切…。

 

とは言え、基礎が全くない所から描き始めるので、技量を大幅に超えた物を描いても、おそらく失敗する事は目に見えています。

失敗すると、せっかくのやる気も失せてしまいます。

そう、これは何かを始める時の基本です。目指す所がどこであれ、そこへ到達するための最初の一歩は、ABCでありドレミです。

 

という訳で、私も記念すべき初デッサンは何度でも微細まで観察できる写真をモデルに描いてみる事にしました。

 

今回選んだ写真は、某雑誌で特集が組まれていた突然変異で色素が無く、白く生まれた熊。茶色の熊の中でたった一匹、ホッキョクグマかと見紛うぐらい見事に真っ白なのです。熊は群れで生活するわけではないので、他の熊から仲間外れにされるという問題はないにせよ、やはり、どこか特別に生まれた物が避けて通れない孤立感が漂います。

もちろん、森の中の白い熊にしてみれば、そんな哲学めいた事などは全く問題ではなく、濃い緑の中で目立ちすぎて日々の糧を得るのが困難で、始終お腹が空いている事以外は頭にないのかもしれませんが。

 

どう生まれて来るかなんて、誰も選べません。

でも、生まれたからには、どんな条件下でも、とにかく懸命に生きていくのです。

 

さぁ、皆さんにご挨拶なさい。

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自己紹介

ブログを始めて早1年半が過ぎようとしていますが、これまで自己紹介の様なエントリーは上げていませんでした…。

 

どれだけの方が、興味を持って下さるかは、定かではありませんが、私は、個人的にオッと思う記事があると、やはりどんな方が書いているんだろうと気になります。

 

なので、今更ではありますが、読者様に親しみをもってもらうためにも、バーチャル特有のゆる~い繋がり感を育むためにも、自己紹介はいい物かもと思った次第です…。

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さて、本ブログの筆者やまとピースは、数年前にようやく新幹線が開通して、地味な裏日本脱却をはかる富山県生まれです。そして、かの尊敬すべきイチロー選手と同世代です。

 

中学、高校と全く勉強せず、センター試験では無様な結果に終わり、志望校など入れるはずもなく、浪人も許される家庭環境ではなかったので地元の専門学校へ。でもこの学校は、世間一般の「専門学校」のイメージとは違い、先生方も学生もとってもタフで、ゼロから使える英語を叩きこんでもらいました。

 

おかげで、卒業時にはTOEFLで入学条件をクリアし、中学の頃から夢見ていた、アメリカの大学へ進学。勉強は楽しく、学部を卒業しても飽き足らず、1年働いて貯金し、奨学金を得て大学院へ。2000年、第二言語習得を専攻し修士課程を修了しました。

 

その後、結婚し、京都でしばらく暮らしましたが、再びアメリカへ。長男出産後、MBAの学生にビジネス日本語を教える傍ら10年ほどフリーランスで日英の翻訳・通訳の仕事をしていました。

 

そして、2014年、どういう運命のいたずらか、家族でフランスへ移住する事に。フランスに到着した時は、大荷物を抱え、子供達の手を引き、遠い記憶の中の、新天地を求めて大陸に移動した家族の白黒写真と自分たちの姿がダブりました…。おフランスの文化も言語も知識ゼロから始めたこちらでの生活は最初の数か月こそ珍しさが手伝ってウキウキソワソワ観光客気分を楽しみましたが、40才を過ぎたいい大人にはストレスだらけ。もともとの出不精に拍車がかかり、3年ほど、最低限の外出以外はしないという半引きこもり生活を送っていました。

 

そして現在、ようやく個人事業主の登録を行って、細々とフリーランスで英日の翻訳を続けながら、週に2回、日本語のクラスを教えています。そして、時々、ボランティアで日本文化を紹介するプレゼンなどもしたりしています。何にせ下手なフランス語に加え、日本文化に関る資格もないので、色々な方々に手伝って頂いて形にするのですが、これが案外楽しく、無料とあって、毎回盛況です。

 

子供は二人。現在15才の息子は脊髄性筋萎縮症3型を患っており、フランスに移住した時はまだ歩けていましたが、今は車椅子生活。筋力は徐々に落ちてきていますが、次々と治療法が開発され、この病気のための初めての治療薬が一昨年末、アメリカで承認され、今ではヨーロッパや日本でも治療が始まっています。なので、息子も私も、良くなる希望は捨てていません!娘は9才で、幸いにも病気はありません。朝が苦手で、毎日学校に送り出すのが一苦労ですが、お兄ちゃんが大好きな甘えん坊です。

 

好きな事:読書、ピアノ(娘と一緒に練習している程度)、お絵描き(時々描きたくなる程度)、写真撮影(ブログのため)、美術鑑賞(出不精ですが外出の際は必ず周辺の美術館をチェックします)、食べる事(自制できません)、キャンディークラッシュ・ソーダサガ(気が付いたら、現在ぶっちぎりトップです。世界中で何人くらい遊んでいるのか分かりませんが、とにかく他のプレーヤーの影さえ見えないレベル(1310)で遊んでいると、いかに時間を無駄遣いしているのかという事実に苛まれております。どうぞ、皆さん、追いかけて下さい。)。

 

必要な事:ダイエット、アンチエージング(若々しくいたいという気持ちはありますが、ズボラなので地道にやらなければいけない、お肌のお手入れとかには向いておらず、諦め気味)、貧血治すこと(赤味の肉やレバーが苦手)。

 

何だか、長くなりましたが、やまとピースの自己紹介でした。