手持ち無沙汰な時、温かいお茶のお供にでもして頂ければ、うれしいです。

版画

「版画」と一言でいっても、色々な技法があるようです。

どんな事でもちょっと掘り下げると、そこにはいつも底なし沼が広がってます。そして、そこへ足をドブッと踏み入れる勇気も出ないままスゴスゴと引き下がる私。

あぁ、今まで40年以上生きてきて、これだけは誰にも負けないわよ、と胸を張って言える事はなぁ~んにもないな…。

よく言えばマイペース、でもこれまで一度だって「○○さんに負けたくない」とか、「絶対に一番になってやる」とか燃える競争心を感じた事はありません。自身が求めていない事なので、当たり前と言えば当たり前なんですが、何だかやっぱりちょっと寂しい…。同世代のイチロー選手も3試合連続の複数安打で頑張ってるし。とにかく、今からでも、もっと一生懸命に情熱を注げる事が見つけられればいいなぁ、と思うこの頃です。

 

イヤイヤ、今日のテーマは過去の反省でも、将来の夢でもなく、「版画」です。

私が実際作った事のあるのは、小学生の頃、美術の時間で作った木版画と、中学の時のアルミ板か何かに彫って作った物。木版画は凸版画。彫った所は低くなるため、印刷する時にインクが付かず白くなり、彫られていない所が発色されるというタイプですね。そしてアルミ板の方は凹版画。こちらは彫った版にインクを塗り、一旦拭き取った後、紙を重ねて版をプレスにかけ、彫った場所に残ったインクが紙に印刷されて絵になるというタイプ。エッチングなどが良く知られている凹版画でしょうか。(凹版と凸版、混乱して太陽が黒くなってしまい、ごまかすのに苦労した覚えがあります…)それから彫る必要のない、石板に描いた絵をそのまま刷るタイプのリトグラフっていうのもありますよね。

でも「版画」と聞いて、私がすぐ連想するのは浮世絵と棟方志功、それに絵本の挿絵で有名な滝平二郎ですが、これらはいずれも凸版画!浮世絵の方は、使う色によって、何枚も版を彫る日本独自の技法ですよね。そして、棟方志功は言わずと知れた芸術家。強度の近視で瓶底眼鏡をかけていても板に鼻がくっつくほどの距離で一気に彫り進める様子は有名ですよね。実は、彼、私の生まれ故郷に戦時中疎開していたので、地元のお寺には彼の襖絵が残っていたり、お金が無くて困った時などに、自分の版画を物々交換に使ったりもしていたようで、私の住んでいた町内の老舗などは棟方志功の作品を所蔵している所が多々あります。因みに我が家も、曾祖母が曾祖父を日露戦争で亡くした後、一人息子との暮らしを立てるために雑貨屋を始めたので、祖父、祖母の代には棟方志功とは面識があり、もらった作品もあったとか…。でも、暮らしに余裕などなかった時代。芸術はもちろん二の次。我が家には、残念ながら保管されていませんでした…。

という訳で、私の生まれ故郷、富山県南砺市福光には彼の疎開していた家も残っていますし、地元の美術館にも彼の作品が多く所蔵されているので、興味のある方は是非一度、足を運んでください!北陸新幹線の開通で富山も近くなりましたから。彼の作品は勢いと力に溢れ、人の心の多彩さ、強さ、繊細さ、面白さが随所に散りばめられていて、見ているとパワーが貰えます。

滝平二郎は、子供達のために日本の絵本を探していた時に見て好きになった版画家さん。昔ながらの日本人と日本の風景。過ぎ去った時の懐かしく愛おしい思い出を生き生きと描いていると思います。

 

いやはや、また脱線してしまいました…。

そう、「版画」です。で、なぜ突然「版画」かというと…。

先日、娘と連れ立ってパリへ行った際に、知り合いのアーティストの方に招待状を頂き、展覧会に行ってきたんですが、この方が版画家さんなのです!

彼女の作品を紹介するにあたり、版画について調べてみようという気持ちになった訳です。

彼女の名前はShibu Mikaさん。フランス在住で、ご主人も彫刻家なので、芸術家カップル。彼女の作品はこちらの記事でも取り上げられました。

 

www.republicain-lorrain.fr

そして、こちらはご主人との合作。

expolibreexpression.over-blog.com

今回拝見した作品は凹版画です。では、写真ど素人の私の撮影で恐縮ですが、ご覧くださ~い!

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自然の神秘と美。一つ一つの作品の中に物語が感じられます。

私たちの住む世界は、偶然という奇跡が重なりあってできた特別な場所なのかもしれません。今日の私たちの言動も一つの奇跡…。

今日も誰かを笑顔にできますように。